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2008/07/17

村上春樹的頭痛。

「心配事が多くて頭がイタイ」などと、健康とは直接関係のない症状は別にして、頭痛の経験がない人などいるのだろうか。
発熱したり、肩がこっていたり、寝不足の時や二日酔いの時の頭痛もあれば、原因不明の頭痛というのもある。
頭痛持ちからすれば、これがなければどんなに楽だろうと普段から思っている。
でもね、世の中にはいるんですよね「頭痛を知らない人」が。

「肩こり、頭痛、二日酔いの経験は一度もない」とおっしやるのは作家・村上春樹氏。
「『村上朝日堂の逆襲』新潮文庫 平成元年発行」の中の「健康について」のところに書かれている。「経験したことのない肉体的痛み・苦しみというのは正確には想像することができないのだ」とも述べている。こういう表現はよく分かる。銃で撃たれたり、刃物で刺されたりという痛さは、その経験のない僕には分らない。「相当痛いだろうなー」くらいである。世間では無責任にも「想像を絶する・・・」などという表現もあるくらいだから。
痛さに対する同情心が薄いと言えば薄い表現だ。「想像を絶する痛さだったと・・・」と言ったところで、「さぞかし痛かったんでしょうね。でもね、その痛さは私には想像など出来ないから本当のところは、ふ〜ん、痛かったの?そりゃー大変だったね」で終わる。
でもそんな対応ばかりしていたら薄情者と思われ、周りからどんどん人がいなくなる。
もう痛さの想像を限界まで高め、ウソでいいから最大の同情をしなければならないはめになる。とっても疲れる。

というところで、先の村上春樹氏が「頭痛の経験が一度もない」とおっしってはいたけれど、「『村上朝日堂』新潮文庫 昭和62年発行」の「ヤクザについて」は彼が高校時代に乗った夜行列車の中での出来事。

*目の前には、見るからに隅から隅までヤクザというタイプの男性と、見るからに隅から隅までヤクザの情婦というタイプの女性が座っている。
古い列車で窓が開けっ放しになっているのでどうしても蚊が入ってくる。最初は手でぴしゃぴしゃやっていたけれど、らちがあかなくなって、眠っていた情婦を起こして二人でタバコを吸いはじめた。どやら蚊取り線香のかわりらしい。やがて「にいちゃん、お前もどんどん吸え」と言われ、手渡されたロング・ピースを一晩吸い続ける羽目になり、「おかげで頭は痛むし寝不足になるし・・・」
高校生がタバコをなんて事はこの際無視して、とにかくホッとした。「春樹さん。頭痛経験あったじゃない」よかったね。

あげあしとりに思われると心外なんだけれど、こういうちょっとしたことってよくあることで、僕なんかこのブログで気がついたりするとそっと直してしまったり、ここはマズイと思えばそっと削除してしまう。ほんとズルイ。でも物書きの方は印刷物として残ってしまうので気の毒ではある。

村上春樹の作品を読んでいて、頭のどこかに軽い痛みを感じることがある。頭の中の霧がさーっと晴れ、メントールの香りがしてツキッとくる。これが村上春樹的頭痛というやつですね。

*要約

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