最近の「川嶋あい」
川嶋あいの公式HPを見たらBBSに「リリースするたびに曲も歌も品質が落ちてきていると感じる」の書き込みがあった。「曲も歌唱力も録音時のマスタリングも良くなっている。何を根拠に言われているのか」の反論もあった。僕も以前このブログに良くない評価を書いたが、単に歌唱力や録音と言った技術的な向上だけで評価は出来ない。
彼女の歌は暗めのものが多い。でも特に象徴的な歌詞が使われているわけでもないし、どちらかと言えば分りやすいものが多い。似たようなコード進行も彼女の個性だと考えれば特に問題ではない。ではなにが問題なのかといえば、リリースするたびに完成度が高くなったという事だ。彼女の詩や曲には、ある種の不完全さが感じられる。それが彼女の持ち味となっている。だから歌唱力(技術)、録音時のマスタリングの完成度が上がればそこにはギャップと不快感が生まれる。
村上春樹著「海辺のカフカ」の中にこんな言葉がある。「ある種の不完全さを持った作品は、不完全であるが故に人間の心を強く引きつける」と。
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