「刀神妖緋伝」
書店でコミックス「刀神妖緋伝」新谷かおる著…6を見つけた。5巻が昨年3月発売だったのでずいぶん間が空いたわけだ。さっそく見たんだけれど、「あれーこんなふうに進んじゃうの?」最初に感じたストーリーの深さが巻を進めるごとに薄れている。途中でストーリーを長くする為に、プロット変更をしたのじゃないのかと思えるくらい初めの頃の気迫がない。どうしちゃったんだ?これじゃサイコブレードによる妖怪退治じゃないか。
物語は、神社の娘である柊瑞葉は友達の祥子からお祓いのために一振りの日本刀を預かることから始まる。その日本刀とは女性の体を使って造り上げたもの。つまり、焼き入れの時に水ではなく、人体を使ったと言う禍々しいもの。その日本刀には作刀の犠牲になった娘「一乃」が刀神として憑いており、瑞葉は一乃に強引に運命の契りを結ばされる。
新谷かおるは「エリア88」「クレオパトラD.C」「砂の薔薇」などの作品があり、初期の作品は松本零士のアシをやっていたこともあり、よく似た感じだったが、後メカに関しては松本零士を凌ぐ描写力を身につけた。魅力的な女性を主人公としたものは、これはもう奥様の漫画家、佐伯かよのさんの影響大である。その魅力的な描写力はますますパワーアップしているが、逆にメカニカルなものは衰退している。メルセデスなんか新旧がごっちゃになっているし、デッサンだって…。クレオパトラD.Cのときのコルベットなんてすごく迫力あって生きていたのにどうしたんだろう?
話を最初に戻す。「刀神妖緋伝」のモデルになった日本刀は平家重代の名剣「小烏丸」であると思われる。上古刀でほとんど反りがなく(直刀)しかも諸刃という変ったものである。
写真は参考です。通常の刀は上のように反りがあるが、直刀は下のように反りがない。拵えは白鞘、朴の木、樹脂油仕上げ、栗形松材。
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コメント
松本零士の宇宙描写でのホワイトの使い方の良さは昔マンガ女子高校生の間で語りぐさになっていた。零サマが奥様の牧美也子氏から影響をうけてメーテルやスターシャ、エメラルダスが生まれたのだけど、新谷氏も佐伯氏によるところが多いと思う。ただ新谷氏はや思い入れがメカの方に比重が重いのは感じる。(なにせ「ヤッタラン副長だから)物質や人物にいたるまで少し破壊的な思想傾向が気になる。佐伯かよの氏作品では『緋の稜線』が昭和史を思わせる壮大な人間ドラマ。あまり大作なのでまだ完読できてないのが残念。
投稿: 猫乃ひるね | 2005/07/30 11:34