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2007/10/24

徹夜明けの気分。

「村上春樹/アフターダーク」もう3年も前に刊行されたものだけれど、先日書いたように、やっと手に入れることができた。
「村上春樹らしくない」という感想を目にしたことがある。でもこれ村上春樹だよ。彼だってずっと同じところには留まってはいないということ。

いくつかの物語が深夜零時の少し前から進行する。
ある場所から、まるで空気に眼が付いたように全てを見ている「私たち」。

「私たち」は「デニーズ」の店内にいる一人の女の子に視線を向けることから始まる。
ふと気がつくと「私たち」の視線がいつのまにか「女の子」の視線に変わってしまっている。これは僕だけの感覚だろうから特に重要なことではない。

ファミレス(デニーズ)で熱心に本を読んでいる女の子。名前は浅井マリ。そこに若い男が近づいてきて声をかけた。
ほぼ同じ時刻。暗い部屋の中で眠っている美しい若い女性(浅井マリの姉エリ)を見つめる「私たち」。

深夜から朝の7時頃までの294ページの物語がはじまる。

夜の暗さと屋内の電気の灯、深夜のテレビの画面。ちょっと眼がチカチカして、熱っぽさとだるさが襲う。
ちょうど微熱が続いて体調が悪いような感じが読んでいる間ずっと続いていた。実際熱があったのかもしれない。

春樹らしい清涼感もなければ逆に強烈な汚さもない。でも都会の夜のニオイ、あまり麗しくはないすえたニオイが漂っている。汗でも生ゴミでも、ましてファミレスのニオイでもない。

運ばれてきたコヒーの香りが感じられない春樹の小説だ。

頭痛と軽い吐き気を伴いながら、朝を迎えたような気がする。

余談
「男はヘルメットを頭からかぶる」フフフ、ヘルメットを頭以外からかぶることができるのか?

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