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2008/06/18

真っ赤なウソ!

「問題な日本語」北原保雄編(大修館書店)の中に「真っ茶」という表現は誤用なのかという部分がある。(64ページ)
質問には「水が真っ茶色になった」という例文が掲げられている。

結論として「真っ茶」は誤用ではないとなってはいるけれど、いかにも辞書の編者的な解説がなされている。

色の表現を色の理論抜きにした、いささかお寒い解説ともいえる。

「『真・まっ』という接頭語の類は<ほんとうに>とか<かんぜんに>といった意味を加え、程度を強調するもの」という同書の解説をもとに考えてみます。

「真っ赤」「真っ黒」「真っ青」などといういい方はよく使われるけれど「真っ茶」はどうだろう?

ちょっとした実験をしてみます。
ここに絵の具があります。色は「赤」「黄」「青」「黒」「白」
色の三原色の赤・黄・青と無彩色の黒・白の5色です。

では問題です。次に指定する色を塗ってください。
 1. 赤を塗ってください。
 2. 黒を塗ってください。
ここまでは簡単です。
 3. 灰色を塗ってください。
 4. 茶色を塗ってください。
ここで考え込んでしまいます。灰色は黒と白を混ぜれば作れます。人により黒に近いか白に近いかはあると思いますがなんとか灰色は塗れます。
では茶色です。これは悩みます。「そんな色どうやって作るんだ」という声が聞こえそうです。先の5色から作れますが、その配合比率は人それぞれだと思います。たとえば黄に赤を少し加えて「茶色」と言う人もいるでしょう。黄と赤と黒から「茶色」を作り出す人もいるでしょう。そこには「茶色」という決まった色の概念というものがないのです。人それぞれの「茶色」があるわけです。

「真っ茶」を許せば「真っ灰」もいいことになります。先に述べましたが白に近い灰色や黒に近い灰色を思い浮かべる人がいて「灰」の概念が曖昧なのです。同じことが「茶」にも言えます。じゃあ「赤」や「青」なら問題ないのかと言われる方もいらっしゃるでしょう。「黒っぽい赤」や「白っぽい青」もありますが一般的に「赤」と言えばイメージする色に大きな差はないのではないでしょうか。多くの方はそんなに違った色を思わないだろうと思います。(かなり曖昧なのですが。)

日本色彩事典によると、
赤→赤系統の総称
黄→黄系統の総称
青→青系統の総称
茶→暗い灰黄赤を中心に明度および彩度の低い黄赤系統の総称
このように「茶」に関しては黄赤系統の総称という分かりにくい(イメージが困難)表現になっています。

赤は記号で表すと5R4/14となります。これはマンセル記号というもので色相を10に分けています。「5」はその色の中心でRはREDのことです。次の数字は明度/彩度を表します。
茶色といってもイメージしにくいので「チョコレートのような色(人によってそのイメージする色は違うと思いますが)」であれば9R2.5/2.5位でしょうか。明度・彩度共に低い(少ない)数値になっています。また9Rなので黄色の方に傾いています。

書いていて僕もよく分からなくなってしまったのが本音ですが、結論からいえば「真っ茶」という表現は適切ではないと思います。人それぞれにイメージする「茶」の概念があまりにもかけ離れている(あやふやな範囲が広い)色だからです。いいかえれば自分のイメージした色を他人もイメージしているだろうと思っている、自己納得型人間用語でしょう。

通常は色の三原色の赤・黄・青と無彩色の黒・白ぐらいが「真っ」を付けても違和感がないのではないのかと思います。

ふと思ったんだけれど茶色の光や灰色の光ってないよね?ある?

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コメント

あほな名古屋人は「まっ茶っ茶」なんていう人もいます。「錆こっこ」てのもあります。むかし雨ざらしの校庭の遊具の端はよくがりがりに錆び付いていたものでした。

投稿: 猫友 | 2008/06/21 12:23

まっしろけ、まっくろけ、まっかっか、まっきっき、まっさお、
無彩色には(け)有彩色には色の繰り返しが付くのかと思いきや青には付かない。
真っ赤(か)・真っ青(さお) 「か」・「さお」って?

投稿: プル | 2008/06/22 16:51

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