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2008/06/22

ヤメタ!ヤメタ!

「日々移動する腎臓のかたちをした石」村上春樹著
新潮文庫の「東京奇譚集」の中に収められている短編小説。
「奇譚」という事からして覚悟はしていたけれどやっぱり最後まで読んだら「えっえっ?」てな具合でどうも自分の中で収まりが悪い。

淳平が書き出した短編小説に出てくる腎臓のかたちをした石。
その石に対して彼女(キリエ)の眩暈。もともと左右一対あるはずの腎臓が石だからといって、ひとつというのは、バランスを第一に重んじる彼女には許せなかった。それが彼女にとって、とても気持ちの悪いものに感じた。もう吐き気を感じるくらい。

二度目に読んでそんな風に感じたもんだからもう本来の筋など意味を持たなくなって・・・。
腎臓のかたちをした石を操っているのは淳平ではなくキリエで、そしてその石を揺さぶり続けるようにもっていったことが、彼女自身を深淵に落していったんじゃないのかと思ってしまう。
深淵に落ちたなどとどこにも書いてはないけれど、そういうふうに感じてしまう。

最後に小説の中に出てきた小説がヒョコッと顔をだして全体を受けているんだからたまったもんじゃない。

真剣に考えるのヤメタ!ヤメタ!の気分。

*なぜ「腎臓のかたちをした石」でなくてはいけないのか。「心臓でも膵臓でも肝臓でもなんでもいいんじゃないのか」ってことになるけれど、2つ(対になっている)あるのがミソでおまけに不要な物質の排泄をすることも・・・

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コメント

「東京奇譚集」面白かったですね。
表紙の猿の絵もよろしく{゚ω゚}エノザル

投稿: eno | 2008/06/25 19:19

enoさんはカバー装画を描かれた方なんですね。
猿がこんもり葉の茂った木の枝からシッポでぶら下がっています。
すぐ下にも植物の葉がいっぱいあります。
猿は一枚の葉っぱを持っています。葉っぱにはやや長めの軸がついていてそこをつかんでいます。
楓の葉っぱに似ています。ツタの葉かもしれません。
どうやらこの葉っぱには特別な思い入れがあるようで、わざわざ私たちに見せにきたようです。
「アナタニアゲル」

投稿: プル | 2008/06/25 22:33

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プルさんのブログに取り上げられてたのを見て読んでみました。  村上春樹『東京奇譚集』(新潮社、2005年) 先日読んだ山 [続きを読む]

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