どのように使ってもぜんぜん平気。
「何を言われてもぜんぜん平気。」
この「ぜんぜん(全然)」の使い方についての疑問はあちこちで色々言われています。
「否定表現に使われると思っていたのに、最近は肯定表現に使われる事が多くなったように思う」といった具合です。
二十数年前には「全然いい」などというような表現は今ほど使われていなかったように思うのですが、どうでしょうか?
文豪と言われている方達も肯定の表現に使ってきたそうなので、まちがいではないのでしょうが、現代人が会話の中で肯定表現として多く使うのを聞いていると、言語センスがあまりいいとは思えません。「こういう表現も全然OK!」んなわけないだろー!「こういう表現は全然ダメ!」どちらでも使えるんですからスゴイですねー。
言葉の着こなしというのも変な表現だけれど、前後の関係を無視してやたらめったら「ぜんぜん」を連発されると「オイ!大丈夫か」って思ってしまいます。
新潮文庫「村上春樹・安西水丸『ランゲルハンス島の午後』」の中で次のように使われています。
人を待たせるのもぜんぜん平気だったもう一例は講談社文庫「村上春樹『やがて哀しき外国語』」の中で
日本に比べたら家の値段がぜんぜん安いと使われています。二例目は比較表現でもあるのですが、こういう使い方も最近はよく見かけます。
現代作家がよく使うようになったからなのか、周りでよく聞くから作家も使うようになったのかは分かりません(本をほとんど読まない僕には分からない)・・・
すみません、いつも村上春樹で。なんだかすごーく偏っているのは意識しています。
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コメント
打ち消しの呼応の副詞だから、肯定表現には使っちゃいけないのかと思ってました(でも、たまに使ってます)が、昭和57年の『日本国語大辞典』を見たら、
①残るところなく。すべてにわたって。ことごとく。すっかり。全部。
②(下に打消を伴って)ちっとも。少しも。
③(口頭語で肯定表現を強める)非常に。
①の用法では、逍遥、独歩、漱石など5例出てましたが、村上春樹の「ぜんぜん平気」も?
「ぜんぜん安い」は③の用法?
投稿: まちこ | 2008/07/07 01:38
広辞苑第二版では「(下に否定の語を伴って)全く。まるで。『── わからない』」と肯定に関しては記載されていませんが、新明解国語辞典には「俗に否定表現を伴わず、『非常に』の意にも用いられる」となっています。
本来は否定表現に使われていたものが、文豪と言われる方達が肯定の表現に使ったので一般化されたんじゃないのかと思ったりもします。
「ぜんぜん平気」は「全く平気」ということだろうし、「ぜんぜん安い」は「とても安い」や「だんぜん安い」といったところでしょうか。単に程度を強調するだけではなくて日本の家と他国の家の値段(物ともの)の比較をして「こっちの方が○○だ」という使い方ですね。
「問題な日本語」では「全然を肯定表現で使うのは必ずしも間違いではありません── 中略── また2つの物事を比較して使う用法も現在、一般化していると言えます」と書かれていますが、単に一般化しているから間違いではないと言う書き方には???って感じです。
投稿: プル | 2008/07/07 22:38