蹴飛ばされた環境問題。
田んぼから稲藁を燃やした煙が立ち上るのは秋の風物詩などと言われたのは昔のこと。
先日福井からの帰りもの凄い煙いが立ち上っているのを見て、ちょっとこれはヒドイんじゃないのかと思った。
先月末に地元NHK局の「LIVE610」の中で福井市味見河内(あじみこうち)の「赤かぶら」の種まきの様子が放送された。
味見河内は山間部の集落で、昔から山の斜面で赤かぶらを栽培しているという。
山の斜面を野焼きしてそこに種を播く。草木を燃やすのでその灰が肥料となる。野焼きをしたことにより虫が死に、草の種も燃えてしまうので農薬も肥料もいらないらしい。
またその灰により栄養豊富な水がふもとの田畑を潤すという。
良い事ずくめの先人の知恵と言ってしまえばそれまでだけれど、現代風に言えば環境にやさしいとは言いがたいのは事実。
野焼きした部分は次年度は放置。10年〜15年経って草木が茂った頃にまた野焼きをして赤かぶらを栽培すると言う自然サイクルにおんぶに抱っこされた栽培方法。
このかぶらは量が多くないので朝市で売られる事はあっても、一般には販売されていないという。
昔ながらの農法を伝えるという意味ではいい放送ではあったけれど、番組の切り口が一方に偏りすぎで野焼きが「善」という感じを押しつけているような感がした。
昔ながらの事(伝統)が今の環境に爪を立てることになるのはしかたないけれど、その部分の扱いをどう処理するのかが現代の放送に与えられた使命のような気がする。そんな意味では今回の放送は環境問題を蹴飛ばしている。
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