「眠り」と「うなぎ」の関係。
太宰治の短編に*「女生徒」というのがある。
このWeblogでも以前書いた。
朝起きてから眠るまでの一日を女生徒になりきって(女性一人称で)書いている。
書き出しを引用する。
あさ、眼をさますときの気持ちは、面白い。ではじまる。
一日の終わり。眠りにつく部分(小説の最後)を引用する。
おやすみなさい。私は、王子様のいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか? もう、ふたたびお目にかかりません。で終わっている。その少し前に眠りに落ちるときの気持ちが書かれている。「うなぎ」が出てくる。引用する。
鮒か、うなぎか、ぐいぐい釣糸をひっぱるように、なんだか重い、鉛みたいな力が、……眠りに「うなぎ」か。そういえば村上春樹も眠りに関して「うなぎ」が出てきた。
超短編小説*「夜のくもざる」の中に「うなぎ」というのがある。その中で眠りの表現を引用する。
温かい眠りの泥の中にうなぎやらゴム長靴やらと一緒にすっぽりもぐりこんで……う~んなんだか眠くなってきた。羊を数えるよりうなぎを数える方が眠りにつきやすいかもしれない。
「泥のように眠る」という慣用句がある。意味は知っていてもその語源となるとはっきりしない。でもうなぎのように泥に潜って(泥と一体化)して眠るなんて心地良さそうではありませんか。
人間だから泥というわけにはいきませんが、今日のような寒い夜は布団に潜って心地よい眠りにつきたいものです。
昨夜は寒く、節電のためにありったけの布団かけて眠ったら重くて、おかげで朝起きたら首筋が痛くて…。
*参考 「角川文庫『女生徒』太宰治」
昭和14年。太宰治30歳のときの作品。以前NHKで放送された(主演・朗読:山下リオ)これは現代風にリメイクしたもの。原作にある?な部分はすっとばし、多くの部分を割愛し多少順番を入れ替えて美しい映像をのせている。YouTubeでみつけたけれど、ここにコードを埋め込むのは著作権上好ましくないのでリンクだけ張っておく。
*参考 「新潮文庫『夜のくもざる』村上春樹」
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