人の事は言えないのだけれど。
作家・村上春樹が「村上朝日堂」の中で「警察官の作文能力は一般人のそれに比べて極端に低い」と述べている部分がある。陳述書を書かされた時にそう感じたという。
地域にもよるし人にもよるから一概にはいえないんじゃないのか。と思うけれど、でもやはりムラカミハルキセンセイのおっしゃることに共感してしまう。
ムラカミセンセイからみれば僕なんかも「一般人のそれに比べて極端に低い」にちがいない。そんな僕なんかが他人の文章能力をあれこれいえる立場じゃないけれど・・・。
もう何十年も前のことだけれど、僕も経験したが実にひどかった。とにかく書くのが遅いうえに誤字だらけで、というより字を知らない、線を引いて訂正印だらけになっている。
あれから数十年。何も変わっていない。
県警察本部からの犯罪情報提供メールサービスというのがある。
他にもいくつかメールマガジンのようなものを受け取っているがその中でも飛び抜けて作文能力が低い。
コピペするのもどうかとも思うのだけれど書かなければ分からないので、以下に貼付ける。
1.「11月15日から狩猟期間が始まります。」えっ!まちがっていない?特に変なところはない?
2.「カーナビ等を盗む事件が7件連続に発生しました。」
3.「マウンテンバイク様の自転車に乗った男が、女子中学生に対して、ペットボトル入りのジュース様の液体をかける事案が発生しました。」
4.「性的前兆事案としての声かけやつきまとい被害を受けた場合は」
5.「警察署が認知した殺人未遂事件」
6.「ハガキが届いたら無視するか、不明な点がありましたら最寄の警察署に云々」
そうですか。じゃあ僕の感覚が変なのかな。
1.は「狩猟期間が始まります。」と言いながらその期間の記述がない。「狩猟が解禁になります」でよいのでは。
2.は「連続で発生しました」
3.は間違いじゃないんですが「バイク様」・「ジュース様」・「事案が発生」といったように普段あまり使わない表現、これはいってみれば警察の「業界用語」なのか。それは5.の「警察署が認知した」という書き方も当てはまる。読むほうは一般人なんだから分かりやすい表現にすべき。
4.は「性的前兆事案」という書き方。言っていることはわかるけれど説明不足。分かればいいってもんじゃない。文字を端折りすぎ。「性的犯罪前兆事案」または「性的犯罪の前ぶれと思われる事柄」とまあここでも「事案」となってしまうけれど、「事案」を他のコトバに置換えられないのか。「事案」は旺文社の国語辞典や三省堂の新明解国語辞典には載っていない。ネット検索や大辞林では(問題になっている事柄)と記載はされているが、一般的ではない。3.の場合は「事件」でもいいだろう。事件性が低い、または不明な場合は「・・・という事がありました」とすればよい。なにか限りなく犯罪に近い事柄にしたいが為のコトバが「事案」のようだ。
6.は考えてみましょう。
そして間違いじゃないんだけれど、メールに改行が全くなく、延々と右にスクロールする必要がある。文節という概念がない。
僕もよく変換ミスがある。文法にしても「てにをは」にしてもかなり怪しい。文章も稚拙(ちせつ)である。人の事は言えない。でも他人の事をあれこれ書くのは面白い。
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