天正地震と大津波?
津波による福島第一原子力発電所事故がきっかけとなり、福井県若狭湾でも過去に大津波があったのではないのか?という疑問が浮上したことは以前書いた。
日本はどこでも地震は起こるし海に囲まれていればどこでも津波が押し寄せる可能性はある。
それが遠い過去(何千年も何万年も前)に起きていてもなんの不思議でもない。
そんな遠い過去ではなくて今から426年前の1586年に発生した「天正地震」による「津波」が話題になっている。
事の発端は民俗学者の金田久璋氏が天正地震の若狭湾の津波伝説を紹介したものだから、にわかにこの問題が浮上した。
そんな話が持ち上がったからかどうか分からないけれど、原子力安全・保安院はこの津波の痕跡をさがす調査を始めた。
「『若狭湾沿岸における天正地震による津波堆積物調査について』平成23年12月27日原子力安全・保安院(pdf形式ファイル)」が発表されている。
詳細はそちらを見ていただきたい。
Link▶「原子力安全・保安院/若狭湾沿岸における天正地震による津波堆積物調査について」
この手の資料としては僕のような素人にも分かりやすい書き方だ。
結論として次のように書かれている。
仮に天正地震による津波があったとしても、菅湖及び水月湖には至らず、久々湖に海水が流入した程度の小規模な津波であったものと考えられる。というもの。これは三方五湖周辺で行なった堆積物調査と天正地震に関する文献調査及び神社への聞取り調査からなっている。
なお、事業者においては、若狭湾における津波に関する知見についての説明性の向上のために、念のための調査を今後とも行なっていく事が望ましいと考えられる。
地元では津波に関する言い伝えは存在はするものの数は少なく、あやふやな印象。こうなってくると「つちのこ」や「大蛇」「カッパ伝説」などとそう変わりはしない。でも、もしものこともあるので今後の調査結果も興味のあるところ。ただ最初にも書いたけれど日本沿岸ではどこでも津波の可能性があるし過去におこった形跡があっても不思議じゃない。
そんな事考えだすとこの調査など意味を持たなくなってしまう。
地元の「大学の民俗学者」があちこちでこの津波の事を話すものだから事はどんどん大きくなって、そういえば「どこどこの山の中腹に貝殻が落ちていた」とか「峠の地蔵は何除け地蔵」だとか「ほんまかいな?」の話が拡散。
写真は美浜原子力発電所の松。構内に入れないので対岸から望遠で約460メートル先の松を撮影したが、手持ちレンズではこれが限界。
発電所敷地内には「根上の松」があり樹齢300~600年の黒松だと言う。もし天正の大津波があったとするならばこの辺りは完全に水没。そして今あるこの松たちは奇跡の松ということになる。
Link▶関西電力HP「根上の松』
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